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新タイプのソルダーぺーストの上市について

2001年5月25日

 荒川化学工業(社長:石部修平、大阪市)は、半導体パッケージのフリップチップ実装方式で課題となっていた印刷性やリフロー後の洗浄性を大幅に向上させたソルダーペーストを開発し、本格的な販売に乗り出すことになりましたのでお知らせいたします。

1.ソルダーペースト開発の経緯

 大型コンピューターの出現後、ミニコンピューターへの小型化が進展し、さらにはパーソナルコンピューターから携帯化へのニーズの高まりにより、小型化、軽量化が進んできている。他の電子機器も同様だが、この小型化や軽量化の進展には、電子機器の心臓部となる半導体パッケージの小型化、軽薄化も不可欠で、従来のPGA(Pin Gird Array)やQFP(Quad Flat Package)パッケージング技術から、より小型化、軽薄化が可能な高密度実装のパッケージング技術であるBGA(Ball Gird Array)やCSP(Chip Size Package)へと変遷し、急速に広まりつつある。

 ソルダーペーストは、この高密度実装のパッケージング技術の重要な鍵をにぎる工程の一つ(はんだバンプ形成工程)で使用されるが、従来のソルダーペーストは印刷性やリフロー後の洗浄性が充分ではなく、PGA(Pin Gird Array)やCSP(Chip Size Package)の普及には課題を残していた。また、印刷性の改良に関しては、一般的に、はんだ粉末の小径化と粒度分布の調整によって対応可能であることは判っていたが、はんだ粉末の歩留まりや工程数の増加による大幅なコストアップが問題となっていた。

 当社は以前より、大豊工業(株)、ソルダーコート(株)の異業種3社で共同開発を進め、これら洗浄性と印刷性の大幅な向上を達成し、今回の上市する運びとなった。

 洗浄性については当社が約10年前に精密洗浄分野を手がけて以来、ウェハーバンプの洗浄剤や洗浄機の開発を行ってきたが、その間、顧客から依頼を受けた洗浄残さの分析結果などから、洗浄不良の原因物質や洗浄不良発生のメカニズムの解明に取り組み、その技術の蓄積とノウハウによって洗浄性良好なソルダーペーストを開発することができた。

 さらに、印刷性については、はんだフラックスの主成分が数種類のロジン誘導体であり、一方で当社の主力製品が種々のロジン誘導体を利用した製紙用薬品、印刷インキ用および塗料用樹脂であることから、ロジンに関する豊富な知見を有しており、大幅な印刷性向上も付与することが可能になった。

 今回、開発、上市したソルダーペーストは、5~20ミクロンのの粉末を用いながら、バンプ径170ミクロン、ピッチ250ミクロンのウェハーで連続20枚の印刷が可能で、また、はんだバンプ接合で問題視されるボイドの発生も検出できないレベルまでの低減を実現している。

 当社は、これまで進めてきた精密部品の洗浄剤ならびに機械開発にソルダーペーストを加え、クリームはんだの洗浄、印刷後の洗浄、パッケージの洗浄と一貫した精密部品洗浄システムの開発に一段と弾みをつけていく方針。

 今回の成果は、6月6日~6月8日に東京ビッグサイトで開催されるJPCAショーで発表する予定。

 

2.販売の見通し

今期10百万円、3年後3億円の販売を目指す。

以 上