サスティナビリティ

サーキュラーエコノミーへの取り組み

荒川化学グループは、炭素循環社会に向けた動きが加速する中で、天然資源であるロジンや製品の価値最大化などを目指し、それぞれの実情に沿った形で循環(ループ)の形成に寄与する製品を提供しています。バリューチェーンを通じた活動は、持続可能な企業価値の向上、さらには最終的に地球環境の再生能力向上にもつながると考えており、以下の観点で事業活動に取り組んでおります。


✓資源/製品価値の最大化(環境保全・製品寿命・リサイクル性・廃棄物削減等)
✓特定の国に対する資源依存率下げる
✓日本のビジネスモデル(技術・システム)のグローバル展開
✓資源消費の最小化/効率的な利用
✓廃棄物の発生抑止
✓バリューチェーンの連携

 



製品の環境貢献

 

ロジン製品で貢献するサーキュラーエコノミー

松やにサーキュラー

松やに1トンあたりのCO₂吸収量

天然資源であるロジンは、当社グループの事業活動におけるサーキュラーエコノミーを支える重要な原材料です。
松は成長の過程で多くのCO₂を吸収・固定化することから、松から松やにを採取し、ロジン製品として生産・供
給する ことで、炭素循環社会の実現に向けて貢献しています。なお、松やにの成分分析データをもとに換算*¹す
ると、 松やに 1トンあたりのCO₂吸収量は約3トンに相当します。
*¹ 松やにの炭素量の理論値を概算し、炭素源は松の木が吸収した大気中のCO₂であるという考えに基づいて松やにのCO₂吸収量を試算 
*² 中国で松やに採取からロジンに加工し、日本の当社工場に搬入した前提で試算し、ロジン原料としての吸収量は約2.7トン相当になる


アジア初*³再生可能なアルコール原料を採用

ロジン製品の副原料であるアルコールについて、アジアで初めてとなる再生可能原料由来のアルコールへの置換を
2022年7月製造分から順次開始しています。マスバランス方式*⁴に基づいた再生可能原料を使用し、
バリューチェーンの連携による製品価値の最大化に努めます。
*³ 2022年7月時点(原料メーカー情報より)
*⁴ マスバランス方式:原料生産時の各原料槽にフィードされた再生可能原料の量を追跡し、それぞれの製品に再生可能原料比率を割り当てる方法



バイオマス化を可能にするプラスチック添加剤 PLAFIT

松やにサーキュラー

プラスチック削減への取り組みが進むなか、植物由来のプラスチック添加剤の需要が高まっています。当社ではロジンを原料としたプラスチック添加剤「PLAFIT(プラフィット)」を提案。
プラスチックそのものが持つ特性を維持しながら新たな機能を発揮し、バイオマス度を上げることが可能です。





粘着・接着剤に欠かせないタッキファイヤー

粘着・接着剤の多くには荒川化学のロジン(松やに)をもとに製造されるタッキファイヤー(tackifier=粘着付与剤)が幅広く利用されています。タック(tack)とは「べとつき」という意味で、接着・粘着剤の製造には必須の材料です。 1970年代までは有機溶剤系の粘着・接着剤向けタッキファイヤーとして業界に提供してきました。しかし、有機溶剤が環境に及ぼす影響が問題になり始めた1980年代初頭から、水系の粘着・接着剤をターゲットにしたエマルジョン型タッキファイヤーの開発に着手した結果、業界に先駆けて、ほとんど有機溶剤を含まない高性能のエマルジョン型タッキファイヤーの開発に成功しました。環境規制がいっそう強まった2000年以降、自動車や住宅といった高い接着性能と品質が求められる分野でも用途を拡大していきました。当時、住宅分野ではホルムアルデヒドなどのVOC(揮発性有機化合物)によるシックハウスが大きな問題になっており、国によるVOC指針のもとで各産業界が削減への取り組みをスタートさせていました。そういった状況の中で、独自に開発した特殊な乳化技術によって、2003年にエマルジョン型タッキファイヤーの完全無溶剤化を実現しています。

BioJapan




古紙リサイクルを促進する紙力増強剤
ロジンとは...荒川ケミカルベトナム社

東南アジアなど海外の一部の地域では、でんぷんが紙力増強剤として使用されていますが、排水負荷が大きく、紙に塗工した後に再度乾燥させる必要があるなど手間とコストがかかってしまいます。一方で、ポリアクリルアミド系(PAM系)の紙力増強剤は、少量の添加で高い歩留まり効果が得られるため、排水負荷を抑えることができます。2023年3月に稼働した荒川ケミカルベトナム社はこのPAM系紙力増強剤の生産拠点として、経済発展が目覚ましいASEANを中心に安定的な供給に貢献します。



機能性バイオマス素材配合高濃度乾燥紙力増強剤

資源保護や環境への関心の高まりからライフサイクルでのCO₂の削減に注目が集まっています。具体的な方法として、例えば製品濃度を高めて輸送回数を減らし輸送燃料由来分を削減することや、バイオマス由来の原料を使用して石油由来の原料使用量を少なくすること、などが挙げられます。検討の結果、特定の機能性バイオマス素材を配合することで、製品濃度を高め、かつ従来品対比で性能を維持したPS-4000を開発しました。PS-4000のバイオマス素材の活用と高濃度化により、以下の削減効果があります。
●原料・製造・排水処理にて発生するCO₂の削減が可能
●輸送頻度が減少し、輸送燃料由来のCO₂の削減が可能


BioJapan

 


紙包材向け機能性水系コーティング剤

包材用途のプラスチック削減への取り組みが進むなか、もともとバイオマス素材で生分解性のある「紙」への注目が高まっています。同時にプラスチックが持つ優れた機能、例えば、水蒸気バリア性、耐油性、耐水性、ヒートシール(HS)性などを有する紙包材が求められています。当社では、これらのニーズに特化した安全安心な機能性水系製品AWシリーズの開発をおこなっています。  

紙包装





無溶剤UV硬化型粘着剤

松やにサーキュラー

粘着剤の用途は多岐にわたりますが、電子材料用途の一つに光学ディスプレイ用透明粘着剤(OCA)が挙げられます。OCAは、タッチパネルとセンサー間の貼り合わせや、カバーパネルとモジュール間のギャップを埋めるため等に用いられており、主用途であったスマートフォンに加え、デジタルサイネージや車両用ディスプレイの普及に伴い、使用量が拡大しています。近年、需要の高まりをみせるOCAとして対応するべく、新たな機能を付加したUV硬化型樹脂ビームセットNTZシリーズを開発。当社が素材開発で培ってきたポリマー合成技術、配合技術、無機微粒子の分散技術をもとに設計され、OCA市場での多岐にわたる用途を想定しています。さらに無溶剤でVOCを含まないことから、環境負荷低減に貢献します。




 

リサイクルに貢献する剥離コーティング剤 「アラコート」

近年、お客様の製造工程で廃棄されているプラスチックフィルム(以下PETフィルム)のリサイクルニーズが高まってきています。従来、電子部品の製造工程で使用されたPETフィルムはそのまま廃棄となり、焼却されていますが、PETフィルムに剥離コーティング剤を塗布して剥離フィルムとして使用したのち、PETフィルムと剥離コーティング剤を剥がすとPETフィルムを再利用することができる剥離コーティング剤が求められています。
そのような背景から、当社では、プラスチックフィルムリサイクルに貢献する剥離コーティング剤の開発にも注力することで、循環社会の形成に寄与していきます。


 紙包装





お役立ち資料一覧はこちらから