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錫-銀-銅系5元合金使用、高性能鉛フリークリームはんだを開発

2003年1月 6日

 荒川化学工業株式会社(大阪市中央区、末村長弘社長)と、マクセル北陸精器株式会社(富山県婦負郡、乗松幸示社長)は、富士電機株式会社(東京都品川区、沢 邦彦社長)より特許実施権を受けた錫-銀-銅系鉛フリー改良合金を、高精度にパウダー化し、新開発フラックスとベストマッチさせた高性能な錫-銀-銅系鉛フリークリームはんだ「パールソルダーペースト」を開発いたしました。

 世界的に環境問題が深刻化しているなか、2002年12月電子情報技術産業協会(JEITA)は、2005年末を目標に「鉛フリーはんだの実用化」を行うことで、日米欧が合意したと発表、現在、実用化に向けて、錫-銀-銅3元合金や錫-亜鉛合金の鉛フリーはんだが検討されています。しかし、一般に鉛フリーはんだは、ぬれ性が低く、酸化しやすい等、従来使われている鉛-錫共晶はんだに比べて接合性能が低く、また、特許関係で出荷先の規制もあるなど、これら諸問題を解決したはんだの開発が切望されていました。

 今回開発した鉛フリークリームはんだは、鉛フリー錫-銀-銅3元合金に、ニッケルとゲルマニウムを微量添加した5元合金(USP,JP登録済み、EU出願中)を用い、特殊造粒技術により粒度分布をシャープにしたパウダーと新開発フラックスとを、ペースト化させました。これにより、ゲルマニウムが、主組成である錫の表面を覆い酸化を防止することで、ぬれ性を向上、また、ニッケル、ゲルマニウムの添加により、プレヒート耐熱性、接合部信頼性向上が図られています。

 さらに、この5元合金高性能鉛フリークリームはんだは、リフロー時に起きるはんだボールの発生を画期的に少なくできるため、実装現場の良品率向上にもつながり、また、室温での保存安定性が非常に良いので使い残し廃棄クリームはんだ量の低減が期待出来る等の特長から、従来の鉛フリークリームはんだでは不満足であった量産タイプを含む広範囲な表面実装適用が可能となり、鉛フリーはんだの実用化を可能としました。

 新規開発した高性能鉛フリークリームはんだ「パールソルダーペースト」は、今年3月から荒川化学工業及びマクセル北陸精器において販売を開始し、3年後には約15億円の売上を予定しています。また、本合金を用い高性能接合が可能となった鉛フリーフローはんだ、ヤニ入りはんだ、BGAボールはんだも順次発売を行う予定です。

 なお、本高性能鉛フリークリームはんだは、1月22日~24日東京ビックサイトにて開催されるインターネプコン・ジャパンのブース1-8に出展いたします。

 

以 上